企業の内部留保について考える

最終更新日 2024年4月22日 by atsumu

安倍晋三首相が内閣総理大臣に返り咲いた際に、経済向上を目的に始めたのがアベノミクスです。
アベノミクスの重要項目に挙げられているのがトリクルダウンであり、これは大企業および裕福な投資家に金融緩和など優遇措置をすることを意味します。

 

アベノミクスの実際

優遇措置を受けた大企業や投資家は多大な利益を得られるので、その利益をもとに多くの投資や商品を購入する事で利益を上げます。
その大企業や投資家が資金を使うことによって、経済が好転し中小企業や零細企業で働く人たちにも良い影響を与えるというのがアベノミクスのメリットになります。

鳴り物入りで始まった政策ですが、当初はトリクルダウンが起きて好循環を生み出すと期待されましたが分析を行うと予想していたほどに効果を発揮したとはいいがたい状態になっているのです。
なぜこのような状態になったのかというと、金融緩和で利益を上げたはずの大企業が投資や商品を購入する量を減らして利益を保持する内部留保が横行したためになります。

 

経済の先行きが不透明

なぜ利益を上げているはずの大企業が内部留保を行っているのかというと、その原因として挙げられるのが経済の先行きが不透明ということです。
現状の日本経済はバブル崩壊のダメージが残っており、経済用語で一般市民のことを中間層といわれる人たちが長いデフレで余力を失い購買力がない状態が続いています。

そこで大企業の多くは国内に向けて商品を販売する量を減らす代わりに、購買力の強い新興国の中国や東南アジアに向けて輸出するほうに力を傾けているのです。
しかし海外に輸出する側に力を注ぐ際のデメリットとして、輸出する国に何らかの経済的マイナス要因が起きた時に影響を受ける点になります。

本来であれば海外で問題が起きても、国内需要を高めることで負担を軽減する形をとるのが正常です。
先に言ったとおりに長いデフレによるダメージによって、たくさんの商品を購入する中間層の余力が失われているので国内需要が高まらないです。

 

無理やり政府が税金で徴収しない理由

そのため海外に輸出するのに力を入れている企業は、突発的に起きる海外貿易の影響を考えて設備投資に向かない理由になります。
本来であれば政府与党が内部留保をしないように、企業にある程度十分な余力が生まれているとわかった段階で税を上げて回収するというのが正しいやり方になります。

しかし実際には政府与党は企業にお願いをするレベルで、断固たる姿勢で回収するようなことをしないです。
その理由として現行の選挙制度において、政府が安定して運営するためには大企業が持つ組織票が重要な役割を担います。

この組織票が問題であり、政権を担う与党としては政権を維持するためには大企業の得票は必須なので企業の機嫌を損なうわけにはいかないという心理が働くのです。

 

選挙を考えるあまりに企業に対して強く進言できない

その結果としてトリクルダウンを起こすために断固たる決意で徴収しなければならないはずが、選挙を考えるあまりに企業に対して強く進言できないことが内部留保を蔓延させている理由になります。
ただ内部留保をそのままにしておくと、経済的マイナスが起きた時に大企業は残っている余力で生き残ることはできるのです。

しかし溜め込んだ利益が循環を生み出さないので、大企業が商品を発注している中小および零細企業が大ダメージを受けて運営できない事態になる可能性が高くなります。

中小及び零細企業がダメージによって運営できない状態になれば、結局大企業の商品発注にも影響が出るので経営が成り立たなくなる恐れが発生する可能性が高くなります。
この問題を解決するためには、中間層が買い物をしやすいように税負担の軽減や補助金を予算として計上することで支えることが大事です。

 

まとめ

その上で政府が断固たる決意をもって、企業に対して内部留保を溜め込まないように影響を見つつ少しずつ税を上げて回収することが重要になります。