再生材の調達先を選ぶときに確認したい5つのポイント|日本保利化成株式会社の例も紹介

「再生材を使う方針は決まった。でも、どこから買えばいいのかがわからない」。
ここ1年ほど、取材先の購買担当や開発担当の方から、この相談をよく受けます。

はじめまして、真壁岳人と申します。
北関東の自動車部品メーカーで樹脂成形の生産技術を8年、そのあと工場の廃棄物管理とISO14001の事務局を15年担当してきました。
いまは独立して、製造業の環境対応や再生材の使い方をテーマに記事を書いています。

工場にいたころ、再生材の採用検討に何度か立ち会いました。
うまくいった案件もあれば、試作までは順調だったのに量産の手前で止まった案件もあります。
振り返ると、止まった原因の多くは材料の性能より、調達先とのやり取りの中にありました。

この記事では、再生材の調達先を選ぶときに確認しておきたいことを5つに絞って紹介します。
後半では、群馬県太田市のリサイクル会社、日本保利化成株式会社を例に、公式サイトの情報をこの5つに当てはめてみます。

再生材の調達先選びが、いま重くなっている理由

2026年4月1日、改正された資源有効利用促進法が施行されました。
自動車、家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)、プラスチック製の容器包装をつくる一定規模以上の事業者に、再生プラスチックの利用計画の提出と毎年度の報告を求める内容です。

経済産業省の資源有効利用促進法の改正に関する説明資料によると、対象になる規模は次のとおりです。

製品計画・報告の対象になる規模
プラスチック製容器包装(飲食料品(指定PETボトルを除く)や医薬品等を除く)年1万トン以上
自動車年1万台以上
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機各年5万台以上

同じ資料には、ここでいう再生プラスチックに、工場端材などのプレコンシューマ材と、使用済み製品由来のポストコンシューマ材の両方が含まれると書かれています。
計画の提出は、令和8年10月以後に始まる最初の事業年度から適用されます。

直接の対象は大手メーカーでも、影響はその先の部品メーカーや成形メーカーにも及ぶと私は見ています。
発注元が再生プラスチックの利用量や利用率をつかもうとすれば、仕入れた再生材が何でできているのかを説明する材料が、取引のどこかで必要になるからです。

一方で、良い再生材が国内にたっぷりあるわけではありません。
プラスチック循環利用協会が2025年12月に公表した2024年のマテリアルフローでは、マテリアルリサイクルに回った廃プラスチックの約60%が輸出されていると推定されています(協会は、この推定値には幅があると注記しています)。

使いたい会社は増えるのに、国内に残る量は限られている。
調達先を価格だけで選べない理由は、ここにあります。

調達先を選ぶときに確認したい5つのポイント

ここからの5つは、私自身の現場経験に加えて、環境省が2024年3月にまとめた令和5年度 再生プラスチック市場拡大に向けた調査検討業務 報告書を下敷きにしています。
自動車や電機、容器包装など、再生プラスチックを使う側の企業7社へのヒアリング結果が載っていて、買う側の本音がかなり率直に書かれています。

1. 原料の由来を説明できるか

最初に確認したいのは、その再生材が「もともと何だったのか」です。

報告書に登場する自動車業界のE社は、「最も重視しているのは、環境負荷物質であり、次いで、由来、物性、量の順」と答えています。
さらに「物性表よりもまずは由来が分かる方が参考になる」とも話しています。

これは私の実感とも重なります。
家電の筐体から回収したABSなのか、成形工場で出たランナーなのかで、混ざっているものの見当がまったく違ってくるからです。
由来がわかれば、どんな添加剤や異物が入りうるかをある程度予想できます。
逆に、物性表の数字がどれだけきれいでも、由来のわからない材料は評価の組み立てようがありません。

問い合わせの段階で、少なくとも次の3点は聞いておきたいところです。

  • 工場端材(プレコンシューマ)か、使用済み製品(ポストコンシューマ)か
  • 元の製品や部品の種類は何か
  • 由来が複数ある場合、混ぜて出荷しているか

2. ロットが変わっても中身が変わらないか

サンプル評価に合格しても、量産で入ってくるロットが同じ中身とは限りません。
同じE社は「たとえ物性が要件を満たしていても、ロットによって樹脂種の混入割合が異なると物性が安定しない」と指摘しています。

電気電子機器業界のC社は、最初にサンプルでクロスチェックを行い、その後一定の品質で安定して届いていれば確認を省いている、と答えています。
最初の評価のあとは、それが続くかどうかの勝負になるわけです。

ロットのぶれをどう抑えているかは、工程の説明として聞くのが近道です。
選別は人の目か機械か、異物はどの段階で取っているか、押出のときにどのくらいの目の細かさのフィルターを通しているか。
こうした工程の質問にすらすら答えられる会社は、ロットのぶれにもきちんと向き合っていることが多いです。

3. 化学物質の情報をどこまで出せるか

見落とされがちですが、量産の段階で一番もめやすいのがここです。

報告書では、住宅設備・建材業界のD社が「再生プラスチックは、化学物質管理のための証明が存在しない」と悩みを打ち明けています。
C社は、鉛を含む自動車用バッテリー材料由来の再生プラスチックで、RoHS指令の対象物質の検査に不合格になった経験を話しています。

産業技術総合研究所が2025年7月に公表した再生プラスチック含有化学物質の分析および健康リスク評価のためのハンドブックにも、具体的な例が出てきます。
再生プラスチックの製造事業者から集めたペレット38試料を分析したところ、1試料でカドミウムがRoHS指令の最大許容濃度(100mg/kg)を超えていました。
その試料の原料は産業で使われたパレットで、黄色顔料の混入が可能性として挙げられています。

38分の1を多いと見るか少ないと見るかは、人によるでしょう。
ただ、由来によってはこういうことが起こる、という前提で調達先と話したほうが安全です。
SDSや含有化学物質の調査に対応できるか、分析データを出せるかは、最初の段階で確かめておきましょう。

4. 認証は「何に対して」取っているか

再生材の世界では、GRS(Global Recycled Standard)という国際認証をよく目にします。
リサイクル材料が本当に入っているかを、リサイクルの工程から最後の企業間取引まで追いかけて確かめる仕組みです。

ただ、認証の中身は正しく押さえておく必要があります。
運営団体Textile ExchangeのGRS Implementation Manualでは、GRSの対象は再生材を20%以上含む製品で、製品にGRSのラベルを付けられるのは再生材の含有率が50%以上の場合に限られます。
そのうえで「The GRS does not address quality or legal compliance.」(GRSは品質や法令順守は扱わない)とはっきり書かれています。

つまりGRSは「再生材が入っていること」を証明するもので、物性や化学物質の安全まで保証するものではありません。
品質は、ポイント1から3で別に確認する必要があります。

もう一つ気をつけたいのが証明書の種類です。
認証機関のケケン試験認証センターの説明では、拠点ごとの認証を示すのが範囲認証書(SC)で、有効期限は12か月です。
取引ごとの製品が認証品であることは、取引証明書(TC)で示します。
「GRS認証を持っています」と言われたら、対象の品目と、自分たちの取引にTCを出してもらえるかまで聞いてみてください。

なお、Textile Exchangeは2026年4月にGRSの後継基準への移行方針を公表しており、2027年末からは審査が新基準に切り替わる予定です。

5. 必要な量を、続けて出せるか

最後は量と継続性です。
E社は「月数トンレベルで集めることができないと利用は難しい」と答えています。

容器包装業界のA社は、工場端材(PIR材)について「元の由来製品の生産完了などの理由により、供給が打ち切られる可能性もある」と話しています。
工場端材は由来がはっきりしていて品質が安定しやすい反面、出どころの製品がなくなれば止まるという弱みも抱えています。

ほしい量を毎月出せるか、原料の集め先が1か所に偏っていないか、止まりそうなときに代わりの材料を提案してもらえるか。
このあたりは、見積もりの前に話しておきたいところです。

ここまでの5つを表にまとめます。

ポイント確認したいこと質問の例
1. 由来工場端材か使用済み品か、元の製品この材料の元は何の部品ですか
2. ロットの安定選別・異物除去・ろ過の工程ロットごとのばらつきをどう抑えていますか
3. 化学物質SDS、含有化学物質の情報、分析データRoHS対象物質の分析結果は出せますか
4. 認証認証の対象品目、TCの発行今回の品目は認証の対象ですか。TCは出せますか
5. 量と継続月の供給量、原料の集め先月に何トンまで出せますか

日本保利化成株式会社を5つのポイントに当てはめてみる

では、実際の会社をこの5つに当てはめるとどう見えるのか。
例として、群馬県太田市の日本保利化成株式会社を取り上げます。
工場などから出る廃プラスチックを買い取り、再生ペレットに加工して国内外に販売している会社です。

以下は、2026年9月時点で公式サイトから読み取れたことと、問い合わせで確かめたいことの整理です。

ポイント公式サイトで確認できること問い合わせで確かめたいこと
1. 由来工場から出る廃プラスチック(PIR)と、家電製品など使用済みのプラスチック(PCR)を原料にしていると明記。買取案内では、加工の対象を「工業系排出のPIR廃材(一部PCR材有り)」としている希望品目の原料はPIRかPCRか、元の製品は何か
2. ロット材質確認と選別(異物除去、難燃性・耐熱性・塗装の有無など)、破砕時の金属残留除去、80・100・120メッシュでのペレタイジングまで工程を公開。樹脂の特性に合わせて機械とペレタイズ条件を調整していると説明ロットごとの検査項目、検査成績書の有無
3. 化学物質買い取れないものとして、薬品・劇物が付いた物、家庭から出る物、PVC硬質品などを挙げ、原料の入口で線を引いているSDSや含有化学物質の情報、分析データを出せるか
4. 認証2025年4月にGRSを取得。PCR材でつくったペレットが認証を受けていると記載認証機関、希望品目が対象か、TCを出せるか
5. 量押出機の総合処理能力は2,000kg/hr。50種類以上の樹脂の再生に対応。フレコンか25kg袋で充填希望品目の月あたり供給量、最小ロット

私が好感を持ったのは、工程や設備の数字、買い取らないものの条件まで公開している点です。
由来と工程が見えていると、ポイント1と2の話がぐっとしやすくなります。
トップページには、再生による環境負荷の低減を数値化して報告できるとも書かれていました。
改正資源法への対応で数字をそろえたい発注元にとっては、相談の糸口になりそうです。

反対に、グレードごとの物性データ、SDS、最小ロット、購入者向けのサンプル対応は、公式サイトには載っていませんでした。
問い合わせフォームの項目も「事業内容について」「その他お問い合わせ」の2つなので、再生ペレットの購入相談であることを最初に書いておくと話が早いと思います。

同社が資源循環をどう考えているかや、GRS取得の背景は、日本保利化成株式会社のSDGs経営と資源循環を紹介した記事で詳しく読めます。
問い合わせの前に目を通しておくと、会社の方向性をつかみやすいはずです。

最初の問い合わせで使える質問の例

最後に、初回の問い合わせでそのまま使える文面の例を置いておきます。
〇〇の部分を自社の条件に置き換えて使ってください。

再生ペレットの購入を検討しており、ご相談させてください。
用途は〇〇(部品名)の射出成形で、希望樹脂は〇〇、
月あたりの使用量は〇トン程度を見込んでいます。

次の点について教えていただけますと幸いです。
1. 原料の由来(工場端材か使用済み品か、元の製品)
2. ロットごとの検査項目と、物性データの有無
3. SDSや含有化学物質の情報の提供可否
4. 認証の対象品目と、取引証明書(TC)の発行可否
5. 最小ロットと、月あたりの供給可能量

あわせて、サンプル評価の進め方についてもご相談できれば助かります。

一度にすべてそろわなくても構いません。
どの質問に、どのくらいの早さで、どこまで具体的に答えてくれるか。
その反応そのものが、長く付き合える相手かどうかを見極める材料になります。

まとめ

再生材の調達先は、価格表や物性表だけでは決めきれません。
この記事で紹介した確認ポイントは、次の5つです。

  • 原料の由来を説明できるか
  • ロットが変わっても中身が変わらないか
  • 化学物質の情報をどこまで出せるか
  • 認証の対象品目と証明書の種類
  • 必要な量を続けて出せるか

改正資源法の施行で、再生材を「使っている」だけでなく「何をどれだけ使っているか」を説明する場面は、これから増えていくはずです。
調達先は、その説明を一緒に組み立ててくれる相手として選ぶのがいいと私は思っています。

工場にいたころ、再生材の話が量産の手前で止まるたびに悔しい思いをしました。
最初の問い合わせで少し踏み込んで聞いておけば、防げたこともずいぶんあったはずです。